結納金とは?由来や金額の相場など、気になる疑問を解決します!

結納は日本独自の婚約の慣習です。結納の印として酒肴や反物などの結納品が交わされてきました。
それが時代を経て、品物が現金となり結納の場で交わされるようになったものが結納金です。ここでは結納金の由来や相場、使い道などについてご紹介します。

これから家族となり、いずれは親となるふたり。
鬼が笑うと思うかもしれませんが、あと25年したら自分の子供が「結納をしたい」と言ってくるかもしれません。
堅苦しいしよく分からないモノだからと敬遠せず、結納をしないという場合でもせひ、知識として覚えておきましょう。

結納金の由来

結納品の始まりは婚姻関係を結ぶにあたり、男性側が酒肴を持って女性側の家を訪れ、飲食を共にする祝宴を開いたことにあると言われています。
現在も結納の品目にはコンブやスルメ、酒樽など酒肴の面影を残す品が並んでいます。
こうした酒肴の品の他に、花嫁衣裳としての反物などが加わるようになりました。

それらが時代とともにより自由度が高く現実的になって現金を包むようになりました。
現在では結納=結納金というイメージを抱く人が多くなりましたが、結納において結納金が贈られるようになったのは江戸時代末期頃からだと言われています。

なぜ結納金を贈るようになったの?

古くから日本における結婚は、家と家との結び付きであるとされてきました。
結婚式・披露宴においても両名の名前ではなく「○○家○○家ご結婚披露宴式」「ご両家」という記されることが多いのはその名残のひとつです。

婚約の儀式である結納においても家同士で行うものでした。
そのため、結納も両家の家長となる父親が主軸となり取り決め、行っていたことから、結納に係る費用も家の名義で家長が出していました。
結納金の金額が男性側の家の経済力を示すものだとも言われていたのはそのためです。

結納金を包む際、表書きには基本的には結納金という言葉は使われません。
着物や反物を贈っていた名残から、結納金を包んだ表書きには「御帯料」や「御帯地料」、「小袖料」と記されています。これらは、結納品が結納金となった歴史の表れでもあるのです。

結納金って誰が払うの?

結納は家と家の結びつきであり、新郎側の両親(婿養子の場合は逆)が新婦側の両親に対して「大切に育ててこられた娘さんを家族に迎え入れさせていただきます」という気持ちを伝えるもの。
だから、本来結納の主役は新郎新婦ではなく、その両親ということになります。
誰がお金を出さなければならないというルールがある訳ではありませんが、一般的には新郎の両親が用意することが多いようです。

とは言え、両親も結納をしたことがない世代が増えている昨今。
両親も結納の意味を理解しておらず、ふたりの間で交わされるものだと思っている場合も少なくありません。
そんな中で「自分達では用意できないからお金、よろしく」と、両親に言うのも難しい場合が多いですよね。

ここで注意したいのは「だから結納をしない」という選択肢を選んでしまうこと。
お互いに納得していれば問題ないのですが、新郎側が一方的に決めてしまうのは、結納の理由を考えると失礼なだけでなく、両親の顔にも泥を塗ってしまう行為にもなりかねません。
新婦側の両親からしてみると「娘と結婚をするのにきちんと挨拶もしない非常識な人」と思われてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

結納金の相場

全国的な結納金の平均額は約95万円とされています。金額に決まりがないとしながらも、100万円がひとつの具体的な目安となっているようです。
実際に包む金額については端数を避け、30万、50万、100万というようにキリがよく、頭の数字が奇数となるようにするのがしきたりです。
結婚や結納において割り切れる数字である偶数は「別れ」を連想させるとして奇数が好んで使われてきました。
偶数でも「8」は別格で、漢数字「八」の形が末広がりの意味を持ち縁起がよいと捉えられています。

実際、結納金で最も人気が高い額は100万円です。「一本」、「一包み」とも呼ばれ、定番の金額です。結納金の相場は地域によってばらつきがあるものの、80~100万円が多いようです。
結婚式や披露宴を華やかに行ったり、しきたりを重んじたりしている地域では結納金が高額になる傾向があります。
一般的に「西高東低」と言われていて、関西や中国・四国地方が最も高く、次いで関東・東北地方、九州地方、北海道となっています。

結納金が高額の場合、袋ではなく桐箱に入れます。結納金はすべて新札で用意し、向きを揃えて入れましょう。

男性側からの結納に対して女性側からは結納返しが行われます。
関東では男性側からの結納金に対し、「御袴料」として女性側から結納金の半分に相当する金額を包む習慣がありました。
次第に結納返しで返す分を差し引いた金額を結納金として贈り、結納返しは行わないとする合理的なスタイルも見られるようになりました。
また、結納金のほかに、婚約記念品として婚約指輪を結納品のひとつとするケースもあります。
関西では結納は男性から女性へと一方的に贈られるものとして、お返しはしないのが一般的です。

結納と結納返しの考え方は香川県と徳島県でもまったく異なるため、両親にも意見を聞いておくのがおすすめ。
その上で、どちらのスタイルに合わせるかを話し合って決めましょう。

結納金と結納品

結納金が主軸となっている現在の結納においても、結納金だけを贈るケースは少なく、結納の伝統や形式を重んじて正式には9品、略式では7品、5品を揃えて贈っているようです。

結納品として揃える品物には正式で9品、略式で7品、5品があり、略式化の傾向があります。
関東での正式の9品とは、長熨斗(ながのし)、目録、金封(結納金)、勝男武士(かつおぶし)、寿留女(するめ)、子生婦(こんぶ)、友白髪(ともしらが)、末広(すえひろ)、家内喜多留(やなぎだる)です。
7品は正式から勝男武士、家内喜多留を除いたもの、5品は正式から勝男武士、家内喜多留、寿留女、子生婦を除いたものです。
地域によっては結納品が10品を超えたり、華やかな水引で飾ったりと様々です。
結納金以外にも家内喜多留や松魚料として酒肴の現物の代わりに現金を包むしきたりのある地域があるため、結納金や結納品を決める際には地域性の確認も大切です。

結納金なしでもいいの?

結納金は男性側(女性側が養子を迎える場合には女性側)から贈られてきた歴史があるため、男性側から結納金をなしにしようと話を持ち出すのはマナー違反だと捉えられています。
結納金をなしにすることそのものは問題ないのですが、一方的にならないよう事前によく話し合いをしておきましょう。
昔からのしきたりにこだわりのある地域や両親の意向がある場合には、しっかりと説得し、納得してもらってから結納金なしとすることを決めるようにしましょう。
なお、結納当日に突然断ることは当然、失礼です。

結納金の使い道

結納金は男性側の家長から女性側の家長へと贈られることが習わしだったため、その使い道は受け取り側となる女性側の家長が判断していました。
実際はその半額程度は結納返しとして、女性側から男性側へ、頂いた結納品に対するお礼の品としてお返ししていたようです。
地域性もありますが、結納返しでは、長熨斗(ながのし)、末広、金包、子生婦(こんぶ)、寿留女(するめ)、家内喜多留(やなぎだる)、友白髪(ともしらが)、勝男武士(かつおぶし)、目録の9品目を贈るのが正式です。
時代とともに、男性側へ時計やスーツの仕立券を結納品に加えるケースも登場しました。

さて、民法の改正により婚姻が家同士のものではなくなってからは、結納金も両家の家長が出して使い方を決めるのではなく、本人同士が用意して本人同士が使い方を決めるようになっています。
そのため、結納金については結婚式・披露宴用に使ったり、新生活の準備に使ったりと使い道の自由度が高くなっています。

結納金なしの結納

結納品や結納金は贈らないけれど結納がしたいというケースもあります。
そのような場合には、婚約指輪、スーツや時計などを婚約記念品としてお互いの両親へお披露目し、贈り合うという進行で結納を行い、その後、お互いの両親と本人たちとで食事の席を設けて親睦を深める時間としていました。
こうした結納金や結納品なしで行う結納がより合理的になり、食事会の中でお互いの両親を紹介し、婚約記念品を披露するスタイルに変わってきたものが、現在主流となっている「両家の顔合わせ」なのです。

まとめ

日本のしきたりや習わしなどに対する様々な疑問はその歴史を紐解くことで理解できることが多くあります。
結納金についても同様です。時代とともにしきたりやマナーは変わっていくため、現代に生きる私たちにとって、なぜそうしなくてはいけないのかが分かりづらくなっている場合があります。
そうした風習に縛られて自分たちはどうしたいのか、どうしたらよいのかが分からなくなったら、その歴史や伝統について調べてみましょう。
風習の根底にある日本の歴史や心遣いを踏まえることで、納得して結納や結婚式・披露宴のしきたりや習わしに従ったり、あるいは自分たちらしく変えたりする方法を見つけられるはずです。

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